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ご相談内容

2019年度のソロプチミスト児島の講演内容を、引き続きお願いします。

お答えします

ある年齢が来たら、私たちにはA「自分の死を見据える義務」があり、頭がましなうちにB「意思決定が出来なくなる日の来ることを見据える義務」があり、子孫に「私の死に対する気持ち」を託さなければならない、というお話をQ111でさせていただきました。そして、今年度のソロプチミストでお話いたしました「終末期医療の考え方について」をここにお伝えいたします。

 これまで医師は、「死ぬことは医療の敗北」との考えのもと、病気と闘ってきました。
国民も「最高の医療を享受する権利」を主張し、訴訟もいとわない時代が続いてきたのです。そのおかげで迎えた超高齢化時代の今、高齢者の繰り返す誤嚥性肺炎の治療をどこまで行うか?医師も患者さん家族も考えてしまうようになりました。家族の側にも繰り返す誤嚥性肺炎=終末期肺炎との認識が出来てきました。日本呼吸器学会が2017年に、唾液内雑菌や(鼻腔栄養や胃ろうなどからの)人工的注入液による逆流性肺炎(終末期肺炎)の治療のガイドラインを発表し、医師側も、漫然と抗生物質投与の医療を、打ち切る勇気を得ました。しかし家族によっては、なんで治療を中止するんだ、ともかく生きていてくれないと困る、とねじ込む方々もないわけではないのです。
「80−60問題」が昨今マスコミで騒がれています。親が80台になって、こどもが60台になっても自立することができないこどもが、親の年金で食べている状況を指している言葉です。そんな子供にとっては、親は生きているだけでも、親に下りる年金は生きる糧というわけです。
 人の最期など、人が決めることはできません。自分の体重でさえ自分でなかなかコントロールできないのです。なのになぜ自分の死に方について話し合っておく必要があるのか。それが新しくスタートした「終末期医療」という考え方だからです。これついて例えば「人工呼吸器をつけるかどうか」ということを想像しながら以下の基本的な考え方をご覧ください。
・患者本人の意思決定を基本とする。
・医療行為の開始、不開始、中止などを医師一人で決定するのではなく、多職種の医療・ケアチームで慎重に判断する。
・「本人+医療・ケアチーム+患者家族」の総合的な話し合いにより、医療及びケアをプランニングする。

以上の話し合いは1度や2度ではなく、刻々と変わる病状によって、決めたことを変更しながら、最期の看取りまでチーム全員で一緒に歩まねばなりません。意思の言える間に話し合いができるように、万一突然意思を伝えられない状況になっても、自分の気持ちを代弁してくれる人「代理意思決定者」がいてくれるよう、是非自分を分かってくれている人を準備しておくべきなのです。

★ACP(Advance Care Planning) とは?
将来の意思決定能力の低下に備えて、患者・家族と医療者側が今後の治療・療養について前向きにあらかじめ話し合う共同作業のプロセス。ただ単に、最後の最後に蘇生処置をするかしないか(DNAR)を決める作業ではない。

★ADとは?
 どのように生きて死にたいかliving willなどの今後の医療行為に関することを何度も繰り返し話し合うこと。
 例えば肺癌末期の状態であると告知された場合、抗がん剤治療、放射線治療は有効か?効果がさほどなかろうと言われてもとことんやってもらいたいのか?副作用は?効果がないとなったら医療放棄するか?どこで最期を迎えたいか?まだ家で過ごせる間には何がしたいか?何がなんでも専門的医療を受けて癌と闘いたいか?老人病棟?緩和病棟?そこで趣味はできるか?音楽は?絵を描くことはできるか?教会には行けるか?ペットと最後まで過ごせるところを探せるか?最後まで少々のアルコールはいただけるか?清潔でいられるか?友人知人と過ごせるか?時に外食や映画に出られるか?・・・・・お金は足りるか・・・・
独居や脳梗塞や認知症などになった自分を想像して、どんなふうに生き方を切り替えていくかを何度も考えてみたいものです。心のありようは変化していくもののようです。考えたり想像したりして、思いを口に出してみることが大切だと言われています。「お母さんはそういえば、あんなことを言っていたな、ものも言えなくなったけれど、そんな風にしてあげよう。」と思って貰える代理意思決定者をつくれていたら良いですよね。

★DNAR(do not attempt resuscitation)にとは?  急変時、末期状態で心停止・呼吸停止の場合に、蘇生処置を(心臓マッサージ、気管内挿管、人工呼吸器、薬物投与など)してほしくないと言う患者の意向。逆に、家族が到着するまでは、何とか命をもたせて欲しい、一人で死んで行くのは嫌だ、という人もいるでしょう。自分の最期のことなんか縁起でもない、考えたくない、と言わないでください。必ずひとり残らず死を体験しない人はいないのですから。死の話はそんなに縁起の悪い話ではないですよね。

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